「急性期のままでは厳しい。地域包括ケア病棟への転換を検討したい」
この相談は年々増えています。しかし実際に持ち込まれる検討資料の多くは、収益側だけを比較したものです。単価が上がる、あるいは下がる、という話で終わっている。
機能転換の収支は、少なくとも次の4つの変数の組み合わせで決まります。
- 単価(1日あたり入院収益)
- 稼働率(転換後に埋まるのか)
- 在院日数(回転が変わると、延べ患者数が変わる)
- 人員配置(必要な看護配置・リハ職の体制が変わる=人件費が変わる)
このうち1つでも置き方を間違えると、結論が反転します。とくに4番の人件費を織り込まない試算は、実務では役に立ちません。
判断の前に確認する3つの前提
前提1:地域の需要はあるか 転換先の機能に、その二次医療圏で需要があるか。地域医療構想の必要病床数の推計と、周辺医療機関の動向を確認します。転換したのに埋まらないのが最悪のシナリオです。
前提2:施設基準を満たせるか 転換先の病棟には、それぞれ人員配置・在宅復帰率・重症度などの要件があります。要件は改定で変わるため、必ず最新の告示・通知で個別に確認してください(本記事では具体的な点数・要件の断定は行いません)。
前提3:職員が付いてくるか 急性期からケアの性質が変わることに、看護師が納得するか。説明を飛ばして転換を決めると、離職で人員配置が崩れ、要件を満たせなくなります。