「うちの病院は赤字です」だけでは、何も決められません。決められるのは、「どの部門が、いくら、なぜ沈んでいるか」が分かったときです。
部門別損益(診療科別・病棟別の損益計算)は、そのための最小限の道具です。にもかかわらず、多くの病院で導入が進まないのはなぜか。理由はほぼ1つです。
最初から完璧な原価計算を作ろうとして、頓挫するから。
配賦基準の議論に半年かけ、現場から「その配賦は不公平だ」と反発され、結局1回も出さずに終わる。これが典型的な失敗パターンです。
本記事の立場は明確です。粗くていい。毎月出るほうが100倍価値がある。
目的を先に決める(ここを外すと必ず迷走する)
部門別損益を何に使うのかで、必要な精度が変わります。
| 目的 | 必要な精度 | 主に見る単位 |
|---|---|---|
| 経営判断(撤退・縮小・投資) | 粗くてよい | 診療科/病棟 |
| 現場の改善活動 | 中程度 | 病棟/部門 |
| 個人の評価・報酬 | 高精度が必要(推奨しない) | — |
個人の評価に使うのはやめてください。 配賦の不公平感が噴出し、数字を作ることが目的化します。部門別損益は「経営判断のため」と最初に宣言し、それを最後まで守ることが、定着の最大の条件です。