3行結論
- 2026年10月1日、短時間労働者の社会保険加入に必要だった「月額8.8万円以上」の賃金要件が廃止された
- 週20時間以上・51人以上の要件を満たせば、賃金額に関わらず社会保険加入対象となる
- 多くの病院で、パート看護助手・医事職員などが新たに加入対象となる可能性があり、雇用管理の見直しが必要
変更の概要——何が変わったか
根拠法は令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)です。2026年10月1日の施行により、短時間労働者が社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するための要件が変更されました。
変更前の4要件
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 所定内賃金が月額8.8万円以上 ← 廃止
- 勤務先の従業員数が51人以上
- 学生でないこと
変更後の3要件(2026年10月1日以降)
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 勤務先の従業員数が51人以上
- 学生でないこと
賃金要件が撤廃されたことで、これまで「月額8.8万円未満だから対象外」だった短時間労働者が新たに加入対象となります。
病院への具体的影響
ほとんどの病院・医療法人は従業員51人以上の要件を満たします。そのため、今回の変更の影響を直接受ける可能性が高い職場です。
新たに加入対象となり得る職員の例としては、週4日×5時間(週20時間)で勤務する医事職員や看護助手が考えられます。たとえば時給1,100円×月80時間の場合、月の所定内賃金は約8.8万円を下回りますが、週20時間以上の要件は満たすため、今回の変更によって社会保険加入対象となります。
病院側の影響としては以下が考えられます。
- 事業主負担の増加: 新たに加入対象となる職員が増えれば、事業主が負担する社会保険料が増加する
- 事務手続きの増加: 加入手続き・被保険者の管理業務が増える
- 雇用契約の見直し: 現行の労働時間設定が加入要件を満たすかどうかの確認が必要
なお、労働時間を週20時間未満に短縮する対応は、労働者との合意が必要であり、一方的な変更は認められません。
特定減額特例対象者への留意
最低賃金法の減額特例許可を受けている労働者(特定減額特例対象者)は、所定内賃金が月額8.8万円未満であっても原則として加入対象外です。ただし、本人の申し出により任意加入できる制度が2026年10月から開始されています。該当者がいる場合は、日本年金機構または所轄の年金事務所に確認が必要です。
自院で確認したいこと
- 週20時間以上かつ月額8.8万円未満で勤務しているパート職員のリストアップ
- 従業員数(51人以上)の要件確認(常時使用する被保険者数のカウント方法を確認)
- 新たに加入対象となる職員への制度説明と手続き案内
- 事業主負担増を踏まえた人件費予算の見直し
- 雇用契約の内容(所定労働時間)の確認
- 詳細・個別の判断は所轄の年金事務所または社会保険労務士へ