赤字病院の収益改善策の中で、**唯一「追加投資ゼロ・即効性あり」**なのが診療報酬の算定漏れの解消です。すでに行っている診療・ケアに対して、届出や記録の不備で報酬を取り損ねているケースは、規模の大小を問わずほぼすべての病院に存在します。
なぜ算定漏れが起きるのか
- 施設基準の届出が実態に追いついていない(体制はあるのに届出していない)
- 算定要件の記録・様式が整っていない(やっているのに証拠がない)
- 改定のたびに要件が変わり、現場が最新要件を知らない
- 医事課と現場(病棟・外来)の間で情報が分断されている
頻出チェックリスト10項目
- 入退院支援加算 — 体制はあるのに届出・カンファレンス記録が要件を満たしていない
- 認知症ケア加算 — 研修修了者がいるのに届出していない、対象患者の抽出漏れ
- せん妄ハイリスク患者ケア加算 — チェックリスト運用が形骸化して算定できていない
- 栄養サポートチーム加算・栄養食事指導料 — 管理栄養士の活動が算定に紐付いていない
- 摂食機能療法・嚥下関連 — STの介入が算定されていない
- 薬剤管理指導料・病棟薬剤業務実施加算 — 薬剤師の病棟業務が記録不足で算定漏れ
- リハビリの単位数管理 — 疾患別リハの上限単位に対する実施率が低い、起算日管理の誤り
- 救急医療管理加算 — 対象状態の解釈が院内で狭すぎる
- データ提出加算・診療録管理体制加算 — 体制変更後の区分見直し漏れ
- 外来の管理料系(特定疾患療養管理料、生活習慣病管理料など) — 対象患者の拾い漏れ
進め方:3ステップ
ステップ1:届出状況の棚卸し
現在の届出一覧(地方厚生局に届け出ているもの)と、院内の実体制を突合します。「体制があるのに未届出」がまず見つかります。
ステップ2:算定率の分析
算定可能な患者数に対して実際に算定した割合を、加算ごとに出します。DPCデータ・レセプトデータから機械的に抽出できます。
ステップ3:運用の仕組み化
「気づいた人が算定する」ではなく、入院時スクリーニングやクリニカルパスに算定判断を組み込みます。属人化した算定は改定のたびにリセットされます。
効果の水準感
病院の規模・機能によりますが、算定適正化だけで**医業収益の1〜3%**の改善余地が見つかることは珍しくありません。200床規模なら数千万円単位です。損益分岐点近辺の病院にとっては、これだけで黒字転換が視野に入る数字です。
まとめ
算定漏れの解消は、職員を増やさず、患者を増やさず、明日から取り組める収益改善です。ただし院内の目だけでは「漏れていること自体に気づけない」のが実情です。無料経営診断では、貴院の届出・算定状況の概況評価も行っています。