閉院は「事業をやめる」だけでは済みません。病院の閉院は一般企業の廃業より手続きが多く、費用も重く、そして地域に与える影響が桁違いに大きい決断です。この記事では閉院の現実を隠さずに解説したうえで、閉院を考え始めた方に検討してほしい代替案を示します。
閉院に必要な主な手続き
行政関係
- 病院廃止届(保健所・都道府県)
- 保険医療機関廃止の届出(地方厚生局)
- 診療用エックス線装置廃止届、麻薬業務所廃止届 など許認可ごとの届出
- 医療法人の場合:社員総会の解散決議+都道府県知事の認可+清算手続き
患者・地域関係
- 入院患者の転院調整(地域医療連携室・近隣病院との交渉)
- 外来患者への告知と紹介状の発行
- カルテの保存義務(最低5年、実務上はそれ以上) — 閉院後の保管体制まで決める必要あり
職員関係
- 解雇予告(30日前)または予告手当、退職金の支払い
- 社会保険・雇用保険の資格喪失手続き、離職票の発行
費用の目安
閉院は「出ていくお金」の連続です。規模によりますが、中小病院でも総額で数千万円〜億単位になることがあります。
| 費用項目 | 内容 |
|---|---|
| 原状回復・解体 | 賃借なら原状回復(数百万円〜)、所有なら解体費用(億単位もあり) |
| 職員退職金 | 就業規則に基づく一括支払い。閉院費用の中で最大になりがち |
| 医療機器の処分 | 売却できるものは限られ、多くは処分費用がかかる |
| 借入金の一括返済 | 期限の利益を失い、残債の処理が必要になる場合 |
| 専門家報酬 | 弁護士・税理士・社労士・行政書士 |
閉院を考え始めた「今」が、実は分岐点
重要な事実をお伝えします。「閉院しかない」と思い詰めている病院の多くは、第三者から見ればまだ承継・受託の対象になり得ます。
- 病床許可には希少価値があり、赤字でも引き受け手が現れることがある
- 閉院費用(数千万円の持ち出し)と譲渡(対価を受け取る)では、手元に残る差額が億単位になることも
- 職員の雇用と患者の通院先も守られる
閉院の決断が正しい場合も確かにあります。しかしそれは、承継・受託の可能性を実際に検討し尽くした後であるべきです。
まとめ
閉院は手続き・費用・地域への影響のすべてが重い「最後の手段」です。決断の前に、貴院の病床・立地・診療機能に引き受け手が付く可能性を一度だけ検証してください。当NPOの無料経営診断では、閉院した場合の概算コストと、承継・受託の実現可能性を比較する材料を中立の立場でご提供します。